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神々と巨人族の時代

遥か太古の時代、世界は神々が治め、霜の巨人族が闊歩していたと言われています。

この時代のことはわずかで断片的な文献からうかがい知ることが出来るのみです。人々の間に様々な伝承が伝わっていますが、どこまでが本当の話で、どこからが後世の想像なのか全く分かりません。

黄昏の大戦

主に伝承により、神々と霜の巨人族、灼熱の巨人族の間で世界を揺るがすような大戦が勃発したことが伝えられています。

霜の巨人族はいつからか冥府の力を、灼熱の巨人族は渾沌の力を手に入れ、それを振るって神々の座に挑んだため、怒った神々は精霊の軍勢を率い、最後は神の雷を以て巨人族を打ち据え、激戦の末にこれを打ち破ったといいます。

敗れた霜の巨人族の生き残りは冥府の底に、灼熱の巨人族は渾沌の淵へと追放され、神々も負った傷を癒やすために天界へと還っていったと言われています。

ドヴェルグ

精霊たちの内、幾つかの種族は巨人たちに側につき、神々と戦っています。

その中でも最も勢力が大きかったのがドヴェルグという闇の鍛冶の精霊で、巨人たちに強力な武器を供し続けました。

妖精王の時代

「黄昏の大戦」で世界を去った神々と巨人に変わり世界を統べたのは精霊たちを率いていた妖精王クランシュローブでした。

この治世は穏やかで豊かなものだったと言われています。現存する文献からも、そのことがうかがい知れます。

しかしながら、クランシュローブは突如眠りにつき、妖精郷へと引きこもります。この大事件の真相は霧の中ですが、妖精ヘレンダムが王を妬んでやったものとも、続く混乱の時代の象徴、邪霊使いの陰謀とも言われています。

邪霊と混乱の時代

クランシュローブが眠りにつくと、その支配は崩れて藩王たちが実力で各地を統治するようになります。

この混乱の時代に力を伸ばしていったのが、藩王イレイラを殺してのし上がった精霊使いシュドロウムでした。シュドロウムは「邪霊」と呼ばれる恐ろしい精霊を使役し、同じく邪霊を使う弟子たちとともに恐怖の王国を打ち立て世界を支配します。

邪霊と霜の巨人族が手に入れた力との関係はよくわかっていません。邪霊は、使役者の命じた相手に取り付いて支配したり衰弱させたりする力を持っていました。

召喚者たちの戦い

シュドロウムに対して立ち上がったのが、同じく精霊を使役する精霊使いたちでした。多くの犠牲を払いながらも、シュドロウムを倒し、王国を支配していた邪霊教団を滅ぼします。

現代

シュドロウムの王国が崩壊して、またしても世界は群雄割拠の時代へと戻ります。シュドロウムの恐怖を払ったのは精霊使いたちでしたが、人々の記憶には精霊そのものへの恐怖が刻み込まれます。戦乱の時代に、領主のもとで強大な力を振るう精霊使いを目にして、その記憶はさらに強固なものとなります。

シュドロウム討伐を先導した精霊使いトリエスティレは精霊使いたちを集め、再びシュドロウムのような者を世に出さないようにするとともに、精霊使いたちが人々に受け入れられるよう、彼らを厳しく律していく組織を作り上げました。

巨人族の再侵攻

『青黒き氷穴の巨人』と呼ばれる巨人族の末裔たちは北方の山地で密かに力を蓄え、ついに40年前に人々の前に姿を表しました。北に位置するオレム王国は魔王ギュランを名乗る巨人族の王の軍勢に蹂躙され、王国は荒廃しました。その軍勢は、巨人族を中核としてドヴェルグ、酷鬼、猪鬼からなっていました。人間たちは連合を組んでこれに対抗し、多くの犠牲を払いながらも大魔術師ヴァーレンダムやトストーリ王などの活躍によって辛くもこれを打ち破ります。

しかしながら、敗れた『青黒き氷穴の巨人』の一部は山脈には戻らずに人間たちの国の「遺跡」へと身を潜め拠点とするようになってしまいました。

精霊

精霊は、別の世界に棲んでいる存在で、我々の世界には精霊使いによって召喚されて来訪する他、精霊の世界との回廊が開いた時に迷い込んでくることがあります。精霊たちの世界を見たものも訪れたものもいないため、そこがどのようなところかは全く分かっていません。

この世界では、精霊は安定して存在することができません。この世界で精霊が安定して存在するには、召喚者が魔力を提供するか、精霊の世界との回廊から漏れ出る力を定期的に摂取しなければなりません。

この世界での精霊は実体を持たず、物質によってダメージを受けることはありません。一方で、超常の力を操り地水火風の四大元素を始めとした様々な「魔力」を使ってこの世界に影響を及ぼす力を持ちます。

精霊には、地水火風の四大精霊(サラマンダ、ノーム、シルフ、ウンディーネ)の他、様々な「種族」が存在し、種族ごとに特有の魔力を持ちます。精霊は、この世界では人に似た姿を取り、種族ごとに似通った特徴(角、翼など)を持ちますが、個体ごとに違いが見られます。

精霊使い

精霊使いは、精霊と契約し、召喚し、使役する者たちのことです。精霊使いになれるのは、生まれながらにして特別な力を持った僅かな者だけと言われています。適性のない者は、どれほど努力しても精霊使いになれないとされます。

精霊との契約

太古の時代には精霊たちがこの世界に住み、いたるところにいたと言われていますが、どうやら神々が天界に還ったのと同時に、精霊たちもこの世界から離れてしまったようです。しかし、今でもごく一部の精霊はまだこの世界の人里離れた場所にとどまり、あるいは時にこの世界に舞い戻ってくる精霊もいるようです。精霊使いがそうした精霊に出逢えば、「契約」を試みることができます。

出会った精霊と契約できるかどうかにどのような要因が関係しているかは分かっていません。「相性」のようなものがあるとも、精霊使いの資質を量るとも、精霊の気まぐれとも言われています。

契約していない精霊を長時間連れ回すことはできないため、精霊が市場などで取引されることはありません。

精霊修道会

トリエスティレの組織「精霊修道会」の司祭は四大精霊及び12種族の精霊を呼び出す儀式を伝えており、精霊使いの素質があり「精霊修道会」に所属する精霊使いのために契約する精霊を呼び寄せることができます。精霊の呼び出しは決まった時、決まった場所で行う必要があり、長時間の複雑な儀式を必要とするため容易には行なえません。

「精霊修道会」に所属する精霊使いは、通常、「精霊修道会」のために奉仕する代わりに精霊を呼び出してもらい、契約し、精霊を使役する訓練を受けます。

精霊修道会はまた、精霊使いたちに生活の基盤を提供します。そのため、精霊使いたちは生活のために働く必要はなく、「遺跡」に挑むための武具も提供されます。

精霊修道会への奉仕

精霊使いは精霊修道会から様々な便宜を受ける代わりに、精霊修道会の命を受けて行動します。

その一番の活動は、精霊石の回収です。精霊石は通常、この世界に結晶化したあと徐々に力を失っていきますが、時に追放された巨人族や悪しきものたちをこの世界に呼び寄せてしまうことがあると考えられています。それを防ぐため、精霊修道会は精霊使いたちに精霊石の回収を義務として命じています。

精霊修道会の目的

精霊修道会はこの世界の霊的な安定と精霊と精霊使いたちの居場所を確保することを目的とした組織です。

そのために、精霊を使役する者が邪霊使いのような社会に害を与える存在にならないよう訓練・教育し、目を光らせます。

また、太古の巨人族やその下僕たちを排除し、あるいはせめて「遺跡」に閉じ込め出てこないようにしています。

精霊修道会と世俗

精霊修道会は、その組織を維持し精霊使いたちの生活を保証するための社会的な基盤としてそれに見合った所領を持ち、司祭たちは世俗の領主としても振る舞っています。その他の王侯貴族たちとはなるべく距離をおいていますが、一歩間違えれば世俗の権力闘争に巻き込まれる社会的地位にいます。

妖精

今では滅多に人前に姿を見せなくなりましたが、白妖精(アルフ)と黒妖精(ドヴェルグ)は共に、全員が精霊使いでした。そのため、精霊を使える者は妖精族の血を引いているのではないかと考えられています。

巨人族の末裔「青黒き氷穴の巨人」

神々によって追放された巨人族ですが、その一部は逃げて今もこの世界にとどまり続けました。北の凍て凍える山脈に潜んで力を蓄え、妖精王が隠れたのを期に再び表舞台に現れます。

この巨人たちは『黄昏の大戦』の霜の巨人族に比べると小柄で、人の倍程度の身長しかありませんが、それでも人に比べれば圧倒的に強靭で、青黒い肌と強力な魔力を持ち、残忍で酷薄な性格をしています。この新しい巨人たちは、『青黒き氷穴の巨人』と呼ばれ、魔王ギュランを名乗る巨人によって率いられています。